
日常の記録として動画を撮影するだけでなく、YouTubeやTikTok、Instagramなどで配信することが、より身近になりました。 以前は本格的なカメラや編集ソフトを使って撮影していたような映像も、スマートフォンの性能向上により、誰でも簡単に撮影できるようになっています。きっと「私も動画を配信してみようかな?」と思ったことがある人も多いのではないでしょうか。
この記事では、これから本格的に動画撮影を始めたいと考えている方のために、音質がよくきれいな動画を撮るために必要な機材をまとめました。また、撮影に慣れてきた際にワンランク上の映像を作り出すために追加したいアイテムも紹介します。スマートフォンでの動画撮影をプロ並みのクオリティに引き上げる機材を多く紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
動画撮影をこれから始める人にまず揃えてほしい三種の神器
まず紹介するのは、これから本格的な動画撮影を始めたいと考えている人に揃えてほしい撮影機材です。ここで紹介するのは、カメラを固定する三脚、明るく撮影するための照明、音声をきれいに録音するマイクの3つです。基本的な機材ですが、これらを使うことで得られるメリットも交えてご紹介していきます。

カメラを固定し定点撮影できるスマホ三脚や自撮り棒は必需品
気軽に撮影できるスマートフォンですが、風景の撮影や自撮りの際にブレを軽減するには、カメラを固定できる三脚が必需品。また、カメラを固定できることで1人でも構図にこだわったり、撮り直しをしたりすることができます。
スマートフォン用の三脚にはさまざまな種類があるので、その特徴をご紹介します。
スタンダードタイプ
写真撮影用の三脚に似たタイプです。40cm〜150cmの間で高さを調整できるものが多く、高さを出せるうえに安定感があるので、さまざまな角度からの撮影が可能になり、映像のバリエーションを増やせます。
・Negolas 種類によって、40cm〜130cmの間で5段階に伸縮可能なものや30cm〜180cmの間で7段階に伸縮可能なものがあります。スマホホルダーは伸縮性のため、小さいサイズのスマートフォンから大きいサイズのスマートフォンまで対応が可能です。
フレキシブルタイプ
脚がくねくねと曲がるタイプです。木の枝やポールなどに巻き付けて固定することができ、脚の長さは10cm〜40cm程度と、スタンダードタイプに比べて短めです。脚が曲がるため、スマートフォンを水平に保つのは難しいですが、独自の角度で固定できるのが特徴です。
・JOBY 「ゴリラポッド」という名で知られる三脚スタンドです。ボールを繋ぎ合わせたようなでこぼことした見た目が特徴で、木の枝やポールに巻きつけた際に、このでこぼこによって三脚がしっかりとホールドされます。
・SmallRig SmallRigのフレキシブル三脚は脚が細身のものが多く、収納しやすいのが特徴です。脚の底面には滑り止めのフッドパッドが付いていて、安定した撮影が可能です。
2Wayタイプ
三脚としても自撮り棒としても使える2Wayタイプもあります。三脚としては約30cm〜80cmまで伸縮し、好みの高さで使用できるものが多いです。脚を閉じれば自撮り棒に早変わりします。室内では三脚として固定し、外では自撮り棒として使うことができます。
・ELECOM:P-STSRS02ITABK 高さ調整の幅が広く、複数人での自撮りスタイルに最適。旅先でのVlog撮影などに重宝する三脚です。
・Manfrotto ミニ三脚 長さの調整はできませんが、脚を閉じてハンドグリップの状態にすると、しっかりと手に馴染む形状をしており安定感がある三脚です。
高画質な撮影をする鍵は照明にあり。スマホ用リングライトで画質をアップ
晴れた日に外で撮影した動画と、室内で撮影した動画で、画質が全然違うと感じたことはありませんか? 現代のスマートフォンは高性能ですが、きれいに撮るためには撮影環境が明るいことが大前提です。暗い場所ではカメラが光を多く取り込もうとするため、ノイズが混じりやすく、画質が低下してしまうためです。照明があれば、撮影場所が暗くても好みの仕上がりに調整することができます。
逆に、明るい場所でも照明が必要なケースがあります。それは、被写体に余計な影ができたときです。照明を当てることで、影を消したり、弱めたりすることができます。つまり、照明を使うことで映像のクオリティが向上するのです。
スマートフォンの撮影で代表的な照明はリングライトです。特に自撮り撮影をする際に役に立つのが、リング状の照明のリングライトです。リングライトを使用することで顔に影が落ちにくく、人物を明るくきれいに撮影することができます。また、瞳にキャッチライトが入るため、相手に良い印象を与えることができます。バストアップや至近距離での撮影に重宝し、YouTubeやSNSなどでの自撮り撮影だけでなく、ウェブ会議にも役立ちます。
映像を影で支えるマイク。視聴者のストレスを減らし、臨場感もアップ
三脚と照明を整えることは重要ですが、音声にも注意が必要です。音声が聞き取りにくいと、内容が理解しにくくなり、動画を見る人にストレスを与えることになります。屋内の静かな場所であればスマートフォンの内蔵マイクで問題ないかもしれませんが、外付けマイクを使うことで、より高音質な音声を録音することができます。屋外での撮影では、外付けマイクが特に重要です。風によるノイズや衣擦れ音が入るため、マイクにそういったノイズを軽減するためのファーやスポンジを取り付けたウインドスクリーンが必要です。
ショットガンマイク
細長い形状で、マイクの正面の音をしっかり拾い、余計な環境音を排除する指向性マイクが主流です。狙った音だけを録りたい場合におすすめです。
差し込み式マイク
マイク本体に接続用のコネクタが付いており、スマートフォンに直接差し込んで使用します。小型でケーブルがないため、持ち運びしやすく、ウェブ会議やゲーム実況にも便利です。
ピンマイク
襟元や胸元に取り付ける小型マイクです。装着している人の声をピンポイントで拾い、屋外でのロケやゲーム実況動画に適しています。ピンマイクは全方向からの音を拾う無指向性のマイクが主流で、指向性マイクのように向きを気にする必要がありません。そのため、録音の失敗が少なく、初心者でも扱いやすいマイクです。
まずはお試し。スマホ撮影キットも選択肢に
撮影のスモールスタートとして、スマホ撮影キットを利用するのも良い選択です。これまで紹介した三脚、照明、マイクなどがセットになっている製品です。まずはこのキットで試してみて、機材にもう少しこだわりたいと思ったら、各アイテムをアップグレードしていくと良いでしょう。
・Alfoto:AF-99 角度調節ができるコンパクトスタンドや、明るさと色を段階調整できるリングフィルライト、マイク、スマホホルダーなどがセットになったキットです。
・COMICA:CVM-VM10 自撮り棒としても使用できる2WAYタイプのミニ三脚と、 単一指向性マイク、ウインドスクリーン、音声出力ケーブルなどがセットになったキットです。
映像表現をさらにアップさせるためのおすすめ機材
ここからは、基本的な撮影に慣れてきた方や新たな映像表現を模索している方におすすめの機材をご紹介します。紹介するのは、ブレを抑え滑らかな映像を実現するジンバル、本格的なカメラの感覚で撮影できるカメラグリップ、撮影の幅を広げる外付けレンズやレンズフィルター、空撮を行うためのドローンです。前半に紹介した機材にプラスして、映像表現をワンランクアップさせましょう。
ジンバルでスマホの映像が劇的に進化。超滑らかな動画を手に入れよう
スマートフォン用のジンバルは、撮影時の揺れやブレを抑えてくれる機材です。形は自撮り棒に似ていますが、ジンバルのパーツが動くことで手ブレを補正します。走っていてもブレのない映像を撮影できるのが特徴です。また、被写体を追尾したり、手元のボタンで撮影の開始やズームを制御したりすることも可能です。専用アプリの中には、特殊なエフェクト加工を施せるものもあります。ジンバルを使った滑らかで独特な映像は、まるで映画やミュージックビデオを撮影しているような気分を味わえるでしょう。
ジンバルにはさまざまな種類がありますが、扱いやすさや手ブレ補正の性能を重視するなら、電動式で3軸補正に対応したものがおすすめです。
本格的なカメラを撮る感覚をスマホでも。カメラグリップ
カメラグリップは、スマートフォンを本格的なカメラのように持てるようにする機材です。「わざわざカメラのようにする必要はないのでは?」と思うかもしれませんが、これには理由があります。スマートフォンは薄くて持ちにくいため、手ブレしやすいのです。また、ある程度の重みがあるほうが安定感も増します。
カメラグリップを付けると、一眼レフカメラのようにしっかりと握ることができ、さらにグリップの重みで手ブレを抑えることができます。シャッターボタンも付いているため、動画に差し込む写真を撮る際にも便利です。
種類には、スマホスタンドや自撮り棒としても使える製品があり、さまざまな撮影をサポートしてくれるでしょう。
・SONY:GP-VPT2BT グリップを持ったまま、親指で動画撮影や静止画撮影、ズームなどの基本操作が可能なカメラグリップです。三脚機能があるので、カメラを固定させた状態での撮影にも対応可能です。
・ロア・インターナショナル Just Mobile ShutterGrip 横向きの撮影にも縦向きの撮影にも対応できるグリップです。伸縮式の自撮り棒としても使用ができますが、収納時はグリップの中に収まるコンパクト設計になっています。
遠近自在スマホ外付けレンズで映像表現をアップグレード
スマートフォン用の外付けレンズを使用することも、映像に変化を加える方法の一つです。スマートフォン用のレンズには主に4種類があります。遠くの被写体を拡大して撮影できる望遠レンズ、広い範囲を撮影でき、風景や自撮りに適している広角レンズ、花や昆虫などの小さな被写体を至近距離で撮影する際に役立つマクロレンズ、球体に映したようなユニークな画が撮れる魚眼レンズです。使用方法は非常に簡単で、レンズはクリップ一体型になっており、スマートフォンのカメラ部分に挟んで固定します。
レンズはセットで販売されていることが多いため、持っておくと映像にバリエーションが加わり、撮影がより楽しくなるでしょう。選ぶ際の注意点として、レンズの枠が映り込まないように、スマートフォンのカメラレンズより口径が大きいものを選びましょう。
理想の撮影環境、理想のイメージに近づけるレンズフィルター
スマートフォン用のレンズフィルターは、スマートフォン本体のカメラに被せて使うアクセサリーです。さまざまな効果を持ったフィルターがあり、「淡く撮りたい」「色を鮮やかにしたい」「ボケ感を出したい」など、映像や写真の雰囲気を変えたい時に使えるものや、「光の反射を抑えたい」「明るい場所での白飛びを防ぎたい」など、撮影環境による影響を軽減するもの、さらにレンズを傷や汚れから守るものなどがあります。撮りたい映像が明確にある人にとって効果的なため、中級者以上向けのアクセサリーといえるでしょう。
やっぱり一度は試してみたいドローン撮影
最後に紹介するのはドローンです。すっかりお馴染みになったドローンですが、鳥のように上空から見下ろしたり、急上昇や急降下、空中を旋回したりと、地上では撮影不可能な映像を撮れることが魅力です。スマートフォンでドローンの飛行をコントロールできるものや、専用コントローラーを使用し、スマートフォンでドローンの映像を確認できるものもあります。また、専用アプリを使えば飛行ルートの設定など、多彩な空撮が可能になります。
なお、100g以上のドローンを飛ばすには、国土交通省の「機体登録制度」による登録が義務付けられています。一方、100g未満のドローンは模型飛行機に分類され、登録は不要ですが、安全な操作のために基本的な飛行ルールを守る必要があります。ドローンの飛行自体を禁止している場所もあるので事前に調べ許可が必要であれば許可を取り、ドローン撮影を楽しみましょう。
・Holy Stone Holy Stoneは小型で軽量なドローンを多く発売しているメーカーです。初心者向けに飛行をサポートする機能があるものや、4K撮影に対応しているものなど、ニーズに応じたさまざまな機種のドローンがあります。
動画の編集はスマートフォンやタブレットのアプリで手軽に行うことができますし、こだわりたい人はプロ用の編集ソフトを使ってPCで作業するのも良いでしょう。しかし、編集によって動画作品がさらに輝くためには、品質の良い撮影素材が欠かせません。撮影の段階から、良い素材を撮れるようにこだわりたいですね。